NAMARA TriP

なまら旅して、なまら撮る

日光白根山(北関東)〜澄んだ青空と翡翠色の五色沼、紅葉の始まりを告げる初秋の旅〜

 
 
2013年09月21日(土)
 
栃木県日光市群馬県片品村の境目にある日光白根山(にっこうしらねさん)に行ってきました。
 
最高峰の奥白根山(おくしらねさん)は標高2,578mあり、関東で1、2を争う高さを持つ山です。国土地理院の地図には「白根山」とだけ表記されている。
また、他にも白根山という名の山で、草津白根山のようにその土地の名前を冠している場合が多い。


日光白根山は日光連山の一角を成し、空気の澄んだ時期であれば東京の会社からも眺めることができるため、都心から遠く共、身近に感じることができる山です。

 

 

今回の登山は約2年前、秋の始まりとも言える9月中旬の出来事です。この時期は夏から秋へ季節が変わる時期でもありますが、台風の影響で悪天候になることが多い時期でもあります。

 
今回はそんな台風の猛威が終えた直後、大気が静まりかえった白根山へ出向いた旅となりました。
 

日光白根山の記録

静まる朝

 
午前07:06
 
先週は稀に見る大型台風18号の影響でせっかくの3連休が儚く終わってしまった。
その後も大きく爪痕を残すほどの威力を見せつけて北方へ勢力を弱めながら消えていき、平穏な日常に戻ろうとしています。

そして、


「悪いことの後には必ず良いことがある。」


この週末は良いことが待ってると直感できた。

 
都内から関越自動車道を利用して沼田ICを降りてから約50kmを登山口へ向けてひた走る。登山口である群馬県片品村にある菅沼(すげぬま)駐車場にはすでに多くの車が列を成しています。
 
自分と同じく、予感を信じて来た人たちに違いない。

 
白根山日光国立公園に属しています。
 
北海道出身の私でも聞き覚えのある「日光」という文字で思い出すのは日光猿軍団

福島県で活動していた日本猿軍団を相手に裁判沙汰になったのは自分が子どもの頃の話。
この出来事で日光の名が北海道の子どもまで知れ渡ったことでしょう。

 
序盤は平坦な道をのんびり歩きます。
 

木が巨岩を支えているようにも見えます。落ちてこないか心配です。


 
9月中旬を過ぎると山に秋が近づいて来ていることを感じます。
 
海外を旅しながら日本の紅葉は彩り豊かで趣があることを世界に発信して行きたい。
 
そんな暇ないか。


 
緑がかった池が見えてきました。

 
午前08:00
 
色濃く透明な弥陀ヶ池(みだがいけ)に到着です。エメラルドグリーンに見えるのが特徴です。
 
 
 
ここに来ると視界が開け、奥白根山の全容を見ることができます。

山頂付近のゴツゴツしている様子が伺えます。

 
弥陀ヶ池に沿うように木道が敷かれているため歩きやすい。
 
視界が開けたことにより、この日の空模様が申し分ないくらい澄み渡っていることを確認できた。


日光白根山の登山コースは横に長いイメージです。
山頂まで約1.1kmの道のりを登ります。
 

秋晴れの青空

 
雲が薄く擦れ、空の青がより強く出ていることが印象深く残っています。
 
9月も半ばを過ぎ、秋がそこまで来ていることを感じます。
 
 
 
紅葉は標高の高いところから山麓に降りてくるという話は登山をしている人にとっては身体で体感する常識でもあります。
 
日本列島全体で見ると、北海道の大雪山の紅葉を皮切りに北から南へ紅葉前線が南下してきます。その日その時の紅葉のピークを追いかける旅をすると充実しそうですね。

そんな暇ないか。

 
順繰り標高を上げていきます。

 
ここに来て尾瀬にある燧ヶ岳(ひうちがたけ)の姿を捉えました。
 
数週間前に来たときにはどんな山容をしているのかわからなかっただけにこのとき観れた喜びはとても大きかった。

 
あと数百メートルという高さが異常に長く、高く感じるのはなぜでしょう。


 
 
北関東の山々を背にしながら山頂へ向かう。眼下には先ほどいた弥陀ヶ池が見えます。

標高を上げるにつれて、息も上がってくるが、暑くもなく寒くもない。山を登るには最適な時期ですね。

 
奥白根山成層火山であるため山頂付近は岩が露出して荒々しい姿をしています。
 
荒々しい山といえば、福島県磐梯山でお馴染みのアラくんがこの日も参加しています。

 

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上州武尊山(じょうしゅうほたかやま)
 
北関東の山の中でも独立峰で街に近い存在です。
北アルプス穂高岳(ほたかだけ)の方が有名なだけに世間的存在感は薄いのでしょうか。

東京から近いがまだ訪れたことがない。

 
雲一つなく、大気が鎮まり返っていました。過去に経験したことがないほど風もなく、不気味なくらい安定した気候です。

 
浅間山(あさまやま)は何処から見ても目立ちます。近くから見るとプリンのように甘そうな独立峰に見えますが、遠くから見ると前衛の山々を含めて連なっているように観えます。

 
 
ある程度登ると山頂まで緩やかな道になります。

 
そして日光連山のもう一つのシンボル、日光男体山(にっこうなんたいさん)中禅寺湖(ちゅうぜんじこ)がセットで現れました。
 
文字通り男らしい山で、以前カメラが壊れた苦い思い出のある山です。

 

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奥の尖った峰が母親の女峰山(にょほうさん)で、左の図太そうな山がその子どもである太朗山(たろうやま)でしょうか。日光連山は家族で形成されているんですね。

北関東の山を見渡しつつ山頂へ向かいます。


午前09:59

登山口から約3時間で山頂に到着しました。国内でこれより北に高い山はないと思うと優越感でいっぱいです。 


山頂付近は県境になっており、栃木県側には日光白根山の看板が刺さっています。栃木県側の標識の方が個人的には好みです。


遠く微かに観えるのは北アルプス連峰でしょうか。空気が澄んでいるおかげで数百キロ先の山が観える。


山頂には記念撮影のための登山者が増えてきました。

群馬県側の登山口として丸沼高原にある日光白根山ロープウェイを利用すると手軽に白根山の山頂に立つことができます。


遠くからでも目立ちますね。


天気も良く、風もないので休憩していたら眠くなってしまう。

そろそろ行動を再開します。

奥白根山の展望台へ


一度奥白根山を下りて、次の目的地である白根山(まえしらねさん)を目指します。

白根山奥白根山の展望が良いことで知られています。奥白根山だけ登って帰る人もいるみたいですが、個人的には日光白根山に来たなら行くべき山だと思っております。


記録を書いているとき、山と高原地図を見ようと思ったら、中身の地図だけ無くなっていました。一体どこでなくしたのか。

奥白根山 → 前白根山五色沼 → 菅沼駐車場

これが本日残されたコース設定です。


歩き進むと、くすみのないエメラルドグリーンの五色沼(ごしきぬま)が目に入ってきました。

その翡翠色の水溜まりは我々の帰路に期待をもたせるには十分です。


白根山へ登るため避難小屋まで一旦下ります。

昼近くなってきたこともあり、少し雲が発生してきた模様。


男体山にも雲がかかり始めた。


標高が下がるにつれ、木々が再び出現してきた。そして少しずつ紅葉の気配も感じる。


下りが終わったあたりで鹿が現れました。人馴れしているせいか離れようともしません。



アラくんのガン見で背を向けて森へ帰ってしまった。

山で動物に出会えると嬉しい気持ちになるのはなぜだろう。



休憩している人たちもちらほらといる中、避難小屋の横を前白根山へ向かって登っていきます。


黄と青の演出で辛い登り返しも心が和らぐ。



樹林帯を抜けて再び森林限界を超えます。

奥白根山に比べて格段に登山客が少ないためか誰も歩いていません。


懸念していた通り、男体山にかかる雲が大きくなっていました。

致し方ない。


白根山までの道は、人が少ないわりに整備されていてとても歩きやすい。

いくつもの山を含んでいる白根山のようなパターンはコース設定次第でその日の登山の充実度が増すことが最近わかった。


さぁ最後の登りです!


午前11:52 

白根山に到着。奥白根山とは違い、丸みを帯びた山体で山頂はとても広い上、人が少ないことに驚いた。

ロープウェイのある群馬県側から登る人は反対側の前白根山まで来ないのでしょう。



ちょうど白根山群馬県と栃木県の境目で雲がせき止められていました。

男体山のある栃木県側は雲が沸き立っていましたが、奥白根山は終始秋晴れの空模様。


昼食だ!

この日に合わせて購入したイワタニプリズムから販売されているトーストを焼くための網。

とろけるチーズを上に乗せて焼いていたのですが、中々とろけずトーストが焦げてしまった。なにか良い方法はないかな。


五色山(ごしきやま)へ続く稜線。

白根山からはいくつか登山道が伸びている。特に五色山方面へ続く稜線はまた違う景色を観れるんだろうと想像し、焦げたパンを口に頬張る。


エメラルドグリーンの五色沼を見て何かに耽るアラくん。


武尊山も雲で隠れてきました。

昼食を食べ終え、スティックタイプのブレンドコーヒーをカップに移し、ガスバーナーで沸騰させた湯を注いでいつも以上に美味しく飲み干す。

そんな時間を過ごすために、わざわざ都心から朝早く出発して、何時間も歩く登山は世間一般の人からすると到底理解できない行為に見えるのかもしれませんね。

下山


満喫と充実を心に刻み、帰路へ向かう。

 
 
帰路の途中にある五色沼から奥白根山を見上げると、数時間前にいた場所が目に飛び込んできた。その独立峰のような存在感を間近で感じたが、それ以上に五色沼の静けさに癒された。まるで山岳地帯にある湖畔のような心地よさを感じる。
 
五色沼奥白根山があってこそのものだとこのとき実感した。
 

五色沼は近くで見ると透明で綺麗に見える。光の当たる角度で色が変わるとは秀逸ですね。




少し休憩をしてのんびりした時間を堪能する。これから忙しく無機質な都心へ戻るのが嘘だと思いたいくらい、ここではゆっくりした時間が流れています。

帰りたくない。


帰らないわけにはいかないので先を急ぎます。

 
道中紅葉が始まっている木々が目立ちました。
 
この時期は日中の陽が当たる時間が夏に比べて短いが、その短時間に照らされる紅葉を狙って日本全国で登山者が沸き立つ時期でもあります。
 
これからどんどん紅葉が山から降りてくると思うと楽しみです。
 

カメラのホワイトバランスがなぜか変わって山が黄色く染まりました。

デジタルカメラは簡単に見たものを変えれますね。



弥陀ヶ池に別れを告げると、水面に木々が綺麗に反射して日光白根山のフィナーレを飾ってくれました。



午後15:41

朝は満車だった駐車場もこの時間にはガラガラです。


駐車場横に食事やお土産を売っている店があるので少し覗いてみます。


日光といえば名物はゆばみたいですが、まだ一度も食べたことがない。
一体どんな味なのか。


スジャータは菅沼にも進出しているみたいです。観光地行くと大抵いる気がするのは気のせいでしょうか。




 
 
各種雑貨を取り揃えています。目の前に菅沼キャンプ場を併設していることもありこんなに充実しているのか。
 

疲れ切ったところにけんちん汁が売っていたので購入した。普段食べる野菜も汁も登山終わりだととても美味しく、身体に野菜が染み渡るのをしみじみ感じる。

そんなことを考えながらゆっくりしていたかったが、登山の疲れを癒すべく急いで温泉へ向かいます。日光といえば、日光湯元温泉(にっこうゆもとおんせん)が第一候補に上がっていたため金精峠(こんせいとうげ)を越えて栃木県側へ向かいます。


金精トンネルを抜けると上空に雲を蓄えた男体山中禅寺湖が現れました。

温泉は近い。


日光湯元温泉にはいくつか日帰り温泉があります。その中で今回は奥日光高原ホテルを選択しました。駐車場は駐める場所を指定されるほど混雑している。

奥日光湯元温泉 奥日光高原ホテル


浴場の名前に山名が使われているとその山がその地域で特別なものなんだと勝手に思ってしまいます。

泉質は日光湯元特有の乳白色の硫黄温泉で浴槽の中は真っ白で何も見えません。

車の台数に見合った混み方をしていたためあまりゆっくりはできませんでした。時間を外せば空いているかもしれないですね。


入浴後は食事をして帰ることになったのですが、奥日光は観光地のためどのお店も早々に店仕舞いしていました。仕方なくいろは坂を降りて探すことにします。


スマートフォンをフル稼働させて一番近くの食堂を探すと一件ヒットした。
日光市国道121号沿いにあるお食事処かつらという店。
 

 
店内は昔ながらの食堂で、生姜焼き定食を注文するとものすごい量が来て少し驚いた。
食後にコーヒーまでついてくるサービス付きです。たまたま来ることになった食堂でしたが、自分たちに満足と満腹の両方を与えてくれた。

食堂を後に、日光で過ごした一日を車内で振り返りながら暗い夜道を走り、明るいネオン光る都心部へ向けてこの日最後のアクセルを踏んだ。
 





日光白根山のまとめ

 

秋晴れの快晴に恵まれた日光の山奥。

日光白根山を訪れた方の大半は、北関東で最も高い山ということもあり、奥白根山からの眺望の良さが記憶に残っている場合が多いかもしれません。自分も澄み切った空気の中で見た山頂からの景観を今でも覚えている。そのくらい強く印象に残っています。

しかし、日光白根山という一つの山の中に、見る角度によって変わる五色沼や、奥白根山を眺めることができる前白根山、このほかにも今回周れなかった場所等を含めて、見所がいくつも詰まっているバリエーションの豊かさがあることを忘れてはならない。


「高くて、展望が良くて、帰りに温泉もあって、そんなに遠くないところ!」

そんな上京して「初めて登山に行きたい人」が要求してきそうな条件を日光白根山なら満たしています。今回は菅沼から登りましたが、丸沼高原のロープウェイを使えば標高差をお金で埋めることができるため、より楽に登ることができます。

登山したいという人が身近に現れたら、快晴の日光白根山に案内すれば心も身体も満たされることでしょう。



日光白根山の位置

 

日光白根山の地図

山と高原地図 日光 白根山・男体山 2016 (登山地図 | マップル)

山と高原地図 日光 白根山・男体山 2016 (登山地図 | マップル)