北横岳〜西洋のかんじきと北八ヶ岳の旅〜
2014年02月11日(土)
長野県の八ヶ岳連峰北部に位置する北横岳(きたよこだけ)。標高は2,480m。
冬季間はピラタス蓼科スノーリゾートの北八ヶ岳ロープウェイを利用して比較的楽なアプローチで山頂を目指すことができる。
今回の目的は、「西洋のかんじき」と呼ばれるスノーシューを使って山を歩いてみることだったので、比較的天候が安定して難しくない山ということで北横岳を登ることになった。
西洋のかんじき
東京方面から上信越自動車道を進み、中部横断自動車道に入ると正面に見えてくる八ヶ岳北部の山並み。
八ヶ岳連峰は南北約30kmの山体として縦に長く、これから向かう北八ヶ岳は急峻な山が多い南八ヶ岳に対して穏やかな山が多いのが特徴。
ピラタス蓼科スノーリゾートの洒落たセンターハウスから北八ヶ岳ロープウェイに乗って山頂駅のある坪庭を目指す。
ロープウェイからは日本百名山の蓼科山(たてしなやま)が見える。円錐型の形をした蓼科山は諏訪富士とも呼ばれている。
約7分の乗車で標高2,237mの坪庭へ到着。この日は天気が良いから登山客も多かった。
山頂駅はピラタス蓼科スノーリゾートのゲレンデトップにもなっているため、スキーやスノーボードで麓までロングランを楽しめそう。
センターハウスでレンタルした「西洋のかんじき」と呼ばれるスノーシューを装着して登山開始。
初めてのスノーシューに若干戸惑いつつも、雪に食い込む歯の音が頼もしく感じた。
背後には白く染まったアルプスの山並み。
冬晴れの長野は日本一の山岳風景を誇る県かもしれない。
壮大な景観に見とれながら先を進むと徐々に森の中へ引き込まれる。
北横岳周辺は本来であれば、厳冬期の気温が約-5〜-20℃と非常に冷え込むため、樹氷の木々が見れることでも知られているけど、この日は冷え込みも弱いため木々に乗っている雪が溶け始めていた。
森の中の登山道をしばし歩き続けると北横岳ヒュッテが見えてきた。
冬季間も営業する山小屋であり宿泊もできるため、厳冬期の冬山で過ごしてみたい人にはいいかもしれない。
森林限界も近づき、最後の登りをストックとスノーシューを駆使して登り切る。
「スノーシューはできるだけ登山道上でお楽しみください。現在の積雪量で登山道以外へ入り込むと植生を傷めてしまい、場合によっては罰せられることがあります。」
北横岳ヒュッテの当日のブログより。これからスノーシューを利用する時は気にして歩こう。
稜線に出ると、まず最初に南八ヶ岳が眼前に見えた。
そして、乾いた空気が風のない静かな大気中を移動する音だけ聞こえる。
頸城山塊(くびきさんかい)。
それにしても天気が良い。
絶景に感動しながらもさらに先へ進む。
午前10時57分。
標高2,480mの北横岳山頂に到着。
山頂には岩がゴロゴロ転がっており、その隣には蓼科山が鎮座していた。
絶景に男2人で万歳。
北アルプスは他の山域に比べると、山肌の白さが際立っている。
山頂でのんびりしたので下山を開始。
いつか知識、経験、装備全てを駆使して南八ヶ岳も挑戦してみたいね。
スノーシューは登るのは得意だけれど、下るのは苦手なことを知った。
山麓駅に戻ると子供たちが楽しそうにスキーやスノーボードを楽しんでいた。
小さい頃から雪の上で遊ぶことを体験しておけば、大人になってからもまた冬に遊びたくなるんだろうな。
子供の頃の体験はとても重要だと最近感じる。
温泉に立ち寄ることにした。
蓼科高原には湯量豊富な温泉がいくつかあり、その昔は武田信玄が戦いの傷を癒すために使っていた隠し湯としても知られている。
立ち寄った温泉はほとんど客がおらず、僕たちだけで静かに戦い?の傷を癒すことができた。
駐車場には氷瀑が展示されていた。
気温が上がってきたためか、少し溶け出している。
帰路から見えた浅間山も今年は雪が少ない様子。
そんな白い景色も徐々に薄れていき、あっという間にいつもの有機物だらけの世界へ戻った。
北横岳のまとめ
雲ひとつない冬晴れをとるか、絶え間なく降り注ぐ雪をとるか。
人によってまたは何をするかによって冬の選択は変わるかもしれないが、いずれにせよその悩みを持った人間にとって、雪の上で遊びたいという思いは共通した欲求に違いない。
雪の上を歩くために先人たちが考えて作った「かんじき」は、現在までに大きく進化しているもののその基本的な機能は変わっておらず、雪上歩行のマストアイテムとして現代においても健在である。
そんな冬の行動範囲が広がるスノーシューを履いて登った北横岳は新鮮な記憶として僕の記憶の中に残っている。
そして、四季のある中で育った者として、やはり冬は雪のある景色の中で遊びたいと改めて思う旅をすることができた。
北横岳の位置