陣馬山(中央線沿)〜初めての電車による縦走を堪能する旅〜
ミスタードーナツが閉店してしまった。
最寄り駅から少し離れた場所に古びた一軒のビルがある。
2階に映画館、美容室があり、1Fにミスタードーナツがありました。
移住3年目の時、ビルの建て直しと同時にテナントが全てスーパーに入れ替わってしまいました。
一度も行かなかったけれど、無くなると行きたくなるのは何故なのでしょう。
ありがちなことですが、
普段あるのが当たり前なものほど、気付いたときにはすでに無くなっている。
そして、どれだけ重要であったか、そのとき初めてわかるものです。
年が明けて干支が午年に変わったこともあり、東京都八王子市と神奈川県相模原市の境に位置する陣馬山(じんばさん)に行ってきました。
陣馬山というと開放的な山頂に馬のモニュメントがあり、360度の展望があることで有名です。
そして今回は登山を始めて初となる電車でのアクセスとなります。
2014年2度目の登山はいつもと違う緊張感と高揚感を胸に秘めてのスタートです。
最近見た映画
先日、『シンドラーのリスト』という映画を鑑賞しました。
詳しくは別な記事にしました。
この映画を観るのは二回目になりますが、今まで何本も映画を観てきた中で唯一泣きそうになった映画です。
主人公の慈悲深さに感動することでしょう。
※陣馬山とは関係ありません
陣馬山の記録
出発
まだ日が登っていない冬の朝、神田駅(かんだえき)に来ました。
目的はJR中央線に乗車するためです。
今回最初の目的地である高尾山へアクセスするにあたり、自分の中に選択肢が2通りありました。
- いつも通り車で高尾駅まで行く。
- 電車で行く。
電車でのアクセスに少し憧れがあったので、電車を選択しました。
土曜日の日の出前にもかかわらず、早朝から飲み会帰りの人たちで中央線の乗車率が高めでした。
------ 高尾駅(たかおえき)到着 ------
八王子駅を過ぎたあたりで乗客が一気に減り、そこからは登山客らしき人がほとんどでした。
神田駅から約1時間20分で890円だったはず。
ここで京王線(けいおうせん)に乗り換えて高尾山口駅を目指します。
高尾駅までは京王線でも来れます。その場合は新宿始発となります。
新宿駅から比較すると京王線のほうが中央線に比べて190円安いはずです。
------ 高尾山口駅(たかおさんぐちえき)到着 ------
日が少しずつ出てきて外が明るくなってきました。
ここまで来るともう登山客しかいません。
以前高尾山に観光で来たときの写真。
このとき季節は5月なのにとても暑く、世界一の登山者数を誇るだけあって人でいっぱいでした。
高尾山頂までの道のりは複数あります。
1号路は赤い燈籠が並ぶ参道があり、薬王院に参拝していくこともできるため信仰の山の雰囲気を味わいながら進めます。
自分たちは先も長いので時間の短い6号路の琵琶滝(びわたき)コースを選びました。
道路を挟んで反対側には、朝にも関わらずとても目立つホテルがあります。
おそらく高尾山にハイキングに来たカップル狙いでしょう。
女:「疲れたー!汗かいたし温泉でも入りたいね!」
男:「そうだね!温泉でも入りたいけどこの辺にはホテルしかなさそうだね。」
上手い商売ですね。
寒いので改札を出たところにある広場で準備体操をして身体を暖めます。
身体は動いてれば暖まるだろうということでケーブルカー高尾山駅方面まで来ました。
地面のアスファルトは若干凍っていて注意が必要でした。
今回のコースは、年間260万人で世界一の登山者数を誇る東京のオアシス、高尾山から始まる奥高尾縦走路コースを選びました。
当初進むはずであった琵琶滝コースは路面凍結でアイゼンが必要と書いてたので、予定を変更して稲荷山(いなり)コースに変更しました。
軽アイゼンは使わないと踏んで持ってきませんでした。
※この時期は常に携行必須なので真似しないで持っていってくださいね。
登山開始
早速登りです。寝起きの身体にはこの階段が辛く感じます。
早朝からこんな辛い階段登りをしている人がいるのは東京でもここと地下鉄の奥深い階段と奥多摩くらいなものでしょう。
高尾山はスズメバチが4種類生息しているそうです。
モスラみたいなスズメバチもいるそうで少し興味があります。
高尾山まで三分の一地点まで来ました。
高尾山ってもっと楽なイメージでしたけど意外と身体が疲れます。
そして予想以上に暑い。
------ 稲荷山 到着 ------
ベンチもあり休憩している人たちが数人いました。
自分たちも数分ここで休憩します。
ここまで来るのに結構汗をかいたので身体を冷やさないよう注意しましょう。
朝8時の東京都は若干ガスかかっていましたが、遠くに新宿とスカイツリーを観ることができました。
奥多摩などに行ったときも感じたけど、早朝の東京都を眺めるのは少し優越感に浸れます。
みなさんもぜひ真似してみてください。
あまり休んでるとこの時期は身体が冷えてくるので行動を再開します。
東京都が管理している山はとても整備が行き届いていて本当に登りやすいです。
平らなところに出ました。
道幅が道路1.5車線分くらいあるように思えます。それくらい広い。
残り0.6km地点まで来ました。
さっきも思ったけど分数表記にする意味あるのかな。
最後の登りも、もちろん整備された階段です。
稲荷山コースは階段だらけという印象が頭に残りました。
------ 高尾山 到着 ------
一応、二度目の登頂になります。
あと少しで600m。
山頂からは富士山を観ることができます。
ここまではケーブルカーなどで簡単に来れるので、観光気分で行ってみてください。
高尾山頂価格は少し高め。
おそうじ小僧も冬期間は防寒装備のようです。
丹沢方面を眺めるおじさま3人組。
「あの山は〇〇山だな!」
とか言って談笑しているに違いない。
この先から今回のメインテーマである奥高尾縦走路が始まります。
陣馬山まで約5時間。そんなに長いコースタイムだったかな。
前回来たときは高尾山までだったのでここからは未知の世界です。
高まる一方で道のコンディションがあまり良くない模様。
まずは第二のピークである城山を目指します。
途中まで展望のきいた快適なコースをのんびり歩けました。
それと同時に下に敷かれている藁が泥と一緒に靴底に大量にへばりつき気持ちが萎えます。
もみじ台
近くにトイレがあり、もみじのマークが記されていました。
ポイントごとにトイレがあるのでなにかと便利でした。
そして下る。
登山道脇には雪が降った後がありました。
気温が高かったため、数日前に積雪した雪が溶けたようです。
高尾山から城山を経て相模湖までを東海自然歩道(とうかいしぜんほどう)といいます。
この歩道は大阪府まで1,697km続いているというから驚きです。
歩いている人がいたら相当な強者ですね。
開けた展望地に出ました。
ここの段差でシューズの裏に付いた泥をひたすら落としました。
自分ら意外にも同じことをしたであろう跡が多々見受けられました。
高尾山より少し富士山の近くに来ました。
このあとどんどん富士山との距離を近づけていきます。
丹沢山塊を間近に観ることができます。
以前登った塔ノ岳・鍋割山はここからは観えなかったような気がします。
最高峰の蛭ヶ岳(ひるがだけ)をはじめ、丹沢山、表尾根の二ノ塔・三ノ塔はいずれ登ってみようと思います。
この日はてっきり冬山の奥高尾が観れるかと思っていたのですが、全然雪がないです。
ここからは城山に向けて登りです。
縦走の大変なところは、
下る→登る→下る→登る
これをひたすら繰り返すことです。
城山へ最後の登りです。
ここだけ木が伐採されていて一部森林がありませんでした。
東京都もとうとうここまで森林を削りに来たか。
------ 城山 到着 ------
山頂には茶屋があり、おでんをはじめ炭酸やビールが勢揃いでお出迎えしてくれました。
この先、景信山の茶屋は平日はやってないらしいので奥高尾を歩く人にとってここは重要な休憩ポイントとなっているみたいです。
ベンチがたくさんあったので10分ほど休憩。
城山には天狗の木彫りが置いてあり、後ろには東京の街並が観えます。
この天狗の木彫りは2011年に設置されたそうで意外と新しい。
すごく細かく作りこまれているこの彫刻は誰が作ったんでしょうね。
気づいたら600m越えていました。
山頂で猫を観たのは初めてかもしれません。
猫アレルギーなので近づきません。
城山茶屋のなめこ汁は絶品との噂があります。
休憩を終え、小仏峠(こぼとけとうげ)を通って次の目的地である景信山へ向かいます。
この辺からすれ違う人が少しずつ増え始めました。
陣馬高原下まで高尾駅からバスで向かい、陣馬山をスタートして、最後に高尾山へ向かう僕らと逆ルートを選ぶ人も多いみたいです。
小仏峠に向かう途中、相模湖と中央自動車道が観えました。
渋滞することで有名な中央自動車道も見えます。
丹沢や中央線沿いの山々で使える地図を書いて売ってる人がいました。
コンパスの使い方も教えてくれるそうです。
自分は未だにiPhoneのコンパス使っているので、まずはアナログなコンパスを買わなければなりません。
------ 小仏峠 到着 ------
銭湯の入口に置いてあるような狸が待っています。
標高は560mあります。
杉の木の紅葉がまだ残っているのかな。
ずっと森林の中を歩いてきたが、少しずつ景色が開けてきました。
ここまで来れば景信山までもう少しです。
------ 景信山 到着 ------
高尾山を出発してから約2時間で景信山まで来ました。
のんびり歩いて休憩を計20分くらいとってコースタイム通りの時間です。
景信茶屋もこの日は営業していました。
座って休憩していたら、近くの定年を迎えたであろう数人のパーティーが祝杯をあげていました。
どうやらビール持ち担当のおじさまが少しのんびりペースでおばさまといちゃいちゃ喋りながら歩いてたため到着が遅れた模様です。
みんなビールにしか興味がなかったようです。
景信茶屋の裏側に山頂標識がありました。
標識の前は少し坂になっていてそこがドロドロになっていたため滑って転けないよう細心の注意で歩きました。
景信山の標高は727mと、高尾山から奥に進むにつれて少しずつ高くなっていくパターン。
ちょうど中間地点まで来た感じです。
ここから陣馬山まで約2時間ほどの歩行となります。
この先もバッドコンディションな道が待ち受けていること間違いない。
泥濘んでいますが階段になっているため気をつけていれば滑ることはないはずです。
終始泥濘の登山と化しています。
展望もあまり望めないこんな道がどこまで続くのやら。
ドロドロの登山道にがっかりしていると、トレイルランナーが泥濘なんてなんのその、と言わんばかりの軽快な足さばきで自分たちをあざ笑うかのように走り去っていきました。
この縦走路はトレランのコースとしても通年走れることから有名です。
今日だけでも数えきれない程のランナーを見かけました。
明王峠(めいおうとうげ)までの道のりにはまき道が2回程あります。
上へ登ろうか迷いに迷った挙げ句、遠慮なくまき道を利用させてもらいました。
明王峠が見えてきました。
------ 明王峠 到着 ------
茶屋らしき跡がありましたが営業はしていませんでした。
ここでは休憩はせずそのまま先を目指すことにした。
------ 奈良子峠(ならことうげ)到着 ------
ここで帰りに利用する予定の陣馬の湯(じんばのゆ)へ向かう奈良子尾根との分岐になります。
陣馬山へ行きたいなら間違って奈良子尾根を下らないようにしてくださいね。
関東ふれあいの道も残りわずかとなりました。
陣馬山から陣馬高原下まで降りてバスに乗って高尾駅まで戻るメジャールートもおすすめのようです。
自分たちは温泉に浸かりたいので違うルートを利用します。
年配者の団体とすれ違うのはいつもながら大変です。
あいかわらず泥濘んでいます。
気にしていても仕方ないのでどんどん進みます。
残り100m地点まで来ました。
長かった。
最後も歩きやすい階段が用意されています。
真っ白な富士山にまた少し近づいたことを確認できます。
昨年は世界遺産にも選定され、ますます入山者が増えてきているみたいです。
噴火する前に一度登っておきたいですね。
------ 陣馬山 到着 ------
神田駅から約8時間、陣馬山頂の馬のモニュメントに到達しました。
広い山頂は360度の展望があり、家族で遊びに来ている人もいました。
標高は857mと今日一の標高となります。
それよりも藤野町十五名山が気になります。
奥多摩方面まで観えます。
手前も店ですがこの日は定休日(?)でした。
こっちにも看板がありました。
山頂部の物より少しオシャレでした。
休憩。
...前日、武蔵小杉駅に初めて訪れました。
そのとき武蔵小杉駅内のカルディコーヒーで購入したシナモンロールとチョコです。
パンは最寄り駅の書店のレジで売っていたもの。
チョコだらけ。
...
武蔵小杉駅は、東京から多摩川を越えたところにある川崎市に位置する駅です。
構内が充実していて、都心も近いことから最近人気が出てきているそうです。
8路線の乗り入れに驚きました。
こんなに電車が乗り入れていると通勤通学にも便利ですね。
この他にJRと東急線も通っているので非常に交通の便が良い駅かと思います。
改札前にローソンがあったのですが、+toksって初めて見ました。薬でも売っているのかな。
...
そんなことを思い出してたら身体が冷えてきたので下山することに。
下山開始
栃谷(とちや)という場所まで一気に栃谷尾根を下ります。
特に特徴のない下り道です。
ここまで誰ともすれ違いませんでした。
登山道は泥濘などもなくスムーズに歩くことができます。
最近の寒波の影響で液面が凍っています。
謎の文字。
ひたすら歩いて山を抜けると、坂に面して畑が広がっている集落に出ました。
なにを育てているのかは判断できませんでした。
「これは〇〇を栽培しているんだよ。」
これくらい言える男になりたいです。
柚子を発見しました。何個か破られた跡がありました。おそらく猿でしょう。
猿が頻繁に狙っているそうです。
柚子ひとつ100円。
栃谷の集落の中を道に沿って歩いていきます。
小綺麗な案内板。
陣馬の湯は3軒の温泉宿があります。
今回は看板が案内してくれているのでこちらの旅館に行くことにしました。
集落なので住んでいる人もいるはずなのに住民には一度も会いませんでした。
火サスで出てくる犯人が逃走潜伏している田舎を彷彿させます。
車が通れる道路まで出ました。ここまで来れば温泉はすぐです。
陣渓園(じんけいえん)に到着しました。
日帰り入浴は900円になります。
ドアを開けて呼んでも誰も出てこなかったので宿に電話をかけて出てきてもらい料金を払いました。
あとから知ったのですが、入口にブザーがあってそれで呼び出すシステムのようです。
秘湯感満載の陣渓園は小さめの内湯のみとなります。
自分が入ったときは貸し切り状態でのんびり湯に浸かっていたのですが、後から数人のパーティが続々と入浴してきました。
数人のパーティの方々を含めた計10人ほどを乗せてJR藤野(ふじの)駅までシャトルバスを出してくれると言ってくれました。
どうやら人数が多いときは車を出してくれるみたいです。
本来なら温泉からバス停まで30分ほど歩いてそこからバスに乗って駅に行かなければなりませんでした。
平日などの空いている日は多分期待しないほうが良いでしょう。
藤野町は芸術のまちとしてウリだしているそうです。
たしか中央自動車道から緑の木々の中にラブレターが観えたのはこの辺のはず。
柚子の里と言われるくらい柚子を栽培しているみたいです。
奥多摩の青梅市も柚子が有名だったはず。
東京近郊は柚子がよく穫れるみたいですね。
高尾駅から西は中央本線となるため、駅と駅の区間も遠くなり料金も高くなります。
電車に乗ってここまで来たことがなかったため、今回陣馬山に来ることになって初めて知りました。
意外にもホームには人がたくさんいて、電車が来るのを待っていました。
帰りの電車は高尾駅だったので乗り換えて新宿方面へ向かいます。
反省会
電車なんだから飲もう。
ということで中央線沿いにある中野駅で反省会をやることにしました。
中野と聞くと、中野ブロードウェイがあることで有名です。
最近再開発したことで少しテレビにも出ていました。
中野駅北口には、中野サンモールという屋根付きで長さ224mの商店街があります。
コンセプトは「音」を楽しむ商店街だそうです。
”アール・ブリュットとは「生(き)の芸術」という意味のフランス語で、正規の美術教育や文化潮流とは違い、作者独自の方法・発想で制作された芸術の総称。障がいを抱えるアーティストの芸術も含まれる。”
”生の芸術”って言葉が気に入りました。
名前は忘れたけど沖縄料理の居酒屋に行きました。
初めて泡盛というものを杯酌してみましたが、体中が一気に暖まりとても強い眠気に襲われました。
恐ろしいお酒です。
沖縄料理は食べたはずだけど酔っててあまり思い出せません。
登山のあとのアルコールは程々にさっさと帰りましょう。
結局帰りは終電になってしまいました。
登山行った日に何をやっているんだ。
そして、降りるべき駅の一つ前までなんとか意識を保っていたのですが気づいたら一つ先の駅にいました。
結局、歩いて夜中の1時に登山装備で家まで20分ほど歩いて帰るハメになりました。
陣馬山のまとめ
電車での縦走。
乗ったことのない電車に乗ったり、降りたことのない駅で降りたり、いつもの車でのアクセスでは味わえない経験をすることができました。
登り口と下り口の距離がこれだけ離れた登山は今回が初でした。
このコースであれば、なにかあっても行程を短縮して途中でエスケープすることも可能です。
人気の山域であるため常に人がいることもあり、登山を始めたばかりの人でも挑戦しやすいかもしれません。
空気が澄んでいれば、富士山もくっきり観えるため、高尾山から進むにつれて近づいてくる富士山を観るのは楽しみのひとつです。
高尾山から始まる陣馬山までの縦走路は気温も快適な秋〜春に行くのがオススメかもしれません。
暑い時期の高尾山といったらそれはもう…
陣馬山の位置
陣馬山の地図