NAMARA TriP

なまら旅して、なまら撮る

北八ヶ岳〜茎の森を歩いた旅〜

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 2017年08月26日〜27日

 長野県にある八ヶ岳連峰の北部、北八ヶ岳を縦走してきました。

 八ヶ岳連峰を南北に二分した時、南八ヶ岳は急峻な山容の山々が連なっていますが、北八ヶ岳は茎が生い茂る原生林に囲まれた山岳地帯となっています。そんな二面性に惹かれて、これまでも八ヶ岳には何度か足を運んでいます。

 今回は、八ヶ岳エリアの公共交通機関が整っていることを利用して、北八ヶ岳ロープウェイから渋の湯までを1泊2日で縦走するワンウェイな旅をしてきました。

1日目|森のオアシス

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 1日目。

 早朝茅野駅に到着した頃、車を施錠して歩き出した僕たちに大粒の雨が降り注いだ。後にも先にもこの旅で雨に打たれたのはこの時だけだった。

 天気不順の続いた今年の夏、山でのテント泊計画を断念することが重なった。結果的には晴れたときもあったが、巨大な低気圧や火山性活動などの自然からの警告に敏感に反応し、対応することができたとポジティブに捉えて自分を納得させた。そしてこの夏の最後にここぞとばかりに試みたのが、今回の北八ヶ岳縦走である。

 縦走の始まりは、茅野駅を起点にバスとロープウェイを利用した方法を考え、一気に標高を上げることにした。しかし、ロープウェイを降り立ったその先はご覧の景色というわけだ。僕たちは天気が良くなる予報を信じて歩を進めた。 

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 北横岳へ行く予定は早々に止め、一気に麦草峠を目指した。

 麦草峠までの路は今日までの雨で泥濘がありトレイルランニングシューズを選んだことを少し後悔した。状態の良い場合でも歩きにくい岩場が多々あり、歩くのに気をつかう場面が多かった。

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 麦草峠から茎の広がる森の中へ進むと、白駒池が目前に広がるキャンプ場へ昼過ぎに着いた。白駒池キャンプ場は快適性の高いテント場が整っている。

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 時間帯的にまだ先へ行くことはできたかにも思えたが、この旅ではそんなに急ぐ必要もないと改めた。

 ということで、小屋でカレーとノンアルコールで日中から乾杯した。アルコールは夏休み中に摂取しすぎたこともあり自粛した。そんなときのノンアルコールは気持ちが満たされる。 

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 日が暮れるまではまだ時間があるため、白駒池を探勝することにした。

 北八ヶ岳の広大な原生林の中にある白駒池は観光地としても知られており、標高2,100mにある天然湖としては最大規模を誇る。麦草峠の駐車場から歩いて15分の場所にある立地条件は八ヶ岳ならではだ。

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 白駒池ではカヌー体験ができることを知り、いつか再訪した際やってみたいと思う。

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 「茎はどこに行ったら見れますか。」という質問はここではバカにされてしまうくらい辺り一帯に自生していた。部屋での観賞用として持ち帰りたいところだ。

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 そんな茎だらけの森に夢中になっていると日が沈みかけてきた。そして、先ほどまで観光客で賑わっていた森の中にも静けさが生まれた。

 夕暮れ時の森も悪くないね。 

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 晩御飯は持参したフリーズドライ製品をフル活用した。

 グループで食べる鍋等も好きだけど、昨今の登山食は軽量化が進んでいるため縦走や数泊の登山の際、お湯さえあればなんとかなるので大変役立つ。

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 食事後は早々に寝てしまい夜中に目が覚めると、僕たちの頭上には星が無数に並んでいた。歩いて数分の場所にある白駒荘まで来てみると、山荘泊の人たちが皆外で星空を眺めていた。

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 風のない穏やかな湖畔の夜は、自分が今この場所にいることを深く感じとれる。

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 湖畔の夜でこの夏一番の星空を見れて満足したので、明日へ向けて目を閉じることにした。

 

2日目|その先の誘惑

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 2日目。

 雲が多めの朝から始まった本日は、昨日よりも歩く予定となっているため、朝食を簡単に済ませてテントを撤収して先を急いだ。

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 森を抜けて高見石小屋へ着くと、朝の雲はなくなり快晴の青空に変わっていた。展望台からは白駒池が俯瞰して見える。

 ここまでで北八ヶ岳の展望台と呼ばれる場所は大きな岩場でできているところが多い印象を受けた。

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 泥濘の多い登山道を歩いて眺望できる場所まで来ると、今シーズン初めて北アルプスの山々が見渡せた。

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 雲海の向こう側に奥穂高槍ヶ岳を繋ぐ大キレットを見渡すことができた。

 憧ればかりが膨らんで実行が伴っていないので、準備を整えて行ってみたいね。

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 中山峠を超えて、徐々に登りが急になってきた。日差しが強いため昨日よりも汗が多く出てくる中、しばらく登っている時に振り向くと、これまで歩いてきた縦走路が見えた。

 「こんなに歩いてきたんだな」と思えるのが、稜線を歩く縦走の醍醐味であることに気づき始めた。そうして気持ちが満たされて最後の数百メートルを登りきると、東天狗岳山頂に到着した。

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 東天狗岳から西天狗岳を目指し稜線に足を延ばす。天狗岳は東天狗と西天狗の東西二峰からなり、それぞれ異なる山容をした山で登山者を飽きさせない。 

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 南アルプスもはっきりと見ることができる。今年の夏の悪天を払拭するかのような晴天に笑みがこぼれる。

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 天狗岳よりさらに南下すると南八ヶ岳エリアになり、その先は赤岳を主峰とする急峻な山々が連なり、北八ヶ岳との違いを感じることができる。

 時間があるならば、その先の誘惑へ準備を整え進みたいが、明日出社予定の僕たちはここから渋の湯へ向けて下山を始めるほかない。

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 下山は単調な登山道だが、そこは茎の森が癒してくれる。

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 2度目の唐沢鉱泉にお邪魔することにした。相変わらず避暑地にある別荘を感じさせる秘湯の宿だ。

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 今回は温泉ではなく昼食をいただくことにした。

 肉と卵のセットは下界で食べるそれとは雲泥の差の旨味を感じる。

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 唐沢鉱泉の裏手には源泉があり、以前来たとき宿の方からソーダ割りで飲むと美味しいと聞いたが本当なのか。

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 渋の湯までは、唐沢鉱泉の裏山を超えて行くことになる。この旅の中で一番茎が広がっていたこと、そして一番クッション性のあるトレイルであったことがとても印象深い。

 最後に、渋の湯手前でクマが親子で現れたと思ったら、シカだったことは良い思い出になった。

 

北八ヶ岳を旅して

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 八ヶ岳の魅力として南八ヶ岳のアルプスにあるような急峻地形がよく取り沙汰されて目立ちます。一方、北八ヶ岳には遥か昔から残されてきた茎の森が、大きく広がっていることをこの旅で知ることができました。

 どれだけの人たちにそれが認知されているかわかりませんが、この茎が広がる森がいつまでも残って欲しいです。

北八ヶ岳の位置