至仏山 〜尾瀬らしい春の旅〜
2017年04月30日(日)
群馬県北東部、みなかみ町と片品村の境にある至仏山に行ってきました。標高2,228mある尾瀬を代表するビッグマウンテンの一つです。
至仏山の東側には広々とした大斜面が開けており、スキーやスノーボードで滑る人間にとって、とても惹きつけられる山として知られています。ゴールデンウィーク直前から最短でアプローチが可能になるため、例年多くの登山者、山スキーヤー、スノーボーダーで賑わいを見せています。
これは、春の尾瀬の魅力に惹きつけられて、約2年ぶりに至仏山を訪れた旅の記録となっています。
2年ぶり
08:02am
尾瀬戸倉の駐車場からバスに乗り、鳩待峠に到着するとすでに多くの人たちで賑わっていた。
今シーズンの尾瀬は雪に恵まれたこともあり、2年前に訪れた時とは比べものにならないほど、鳩待峠が雪に覆われている。
気温が上がってきて早くも暑いが、少しずつ登り始める。
そして、今シーズンの初めに買ったスノーシューをやっと履くことができた。もう春だから沈み込むことはないが、新たな機動力を手に入れたことが嬉しい。
登り始めてまもなく見える至仏山の大斜面には、すでに滑り始めている滑走者の姿も数人見えた。
左の尖った峰が小至仏山、その奥のなだらかな山のピークが至仏山の山頂である。
途中でセッションしているスノーボーダーのグループもいたり、ジャンルの幅が広いのが、ゴールデンウィークの至仏山のいいところ。
奥に日光白根山と丸沼高原スキー場、その手前に尾瀬戸倉スキー場が見えた。丸沼スキー場は今シーズン足繁く通ったスキー場であり、シーズンの終わりに見ることができてよかった。
そんな時、写真中央にいる女性4人組のテレマークスキーヤーが大斜面を滑り降りていった。とても優雅に滑るその姿を見ると、つい「テレマークスキーもいいな」と思ってしまう。僕は欲張りな性格なのかもしれない。
尾瀬には代表的な2つの大きな山がある。今登っている至仏山、そしてそこから尾瀬ヶ原の向こう側に大きく聳える燧ヶ岳である。
「燧ヶ岳の上の白くなっている部分が滑れそうだね。」と滑れそうなところを探しては、妄想が膨らむ。
小至仏山をトラバースする登山者が蟻のように列を成しているのが見える。
この時期は締まった雪になっている斜面が多いが、それでももし雪崩たらとつい考えてしまう。
燧ケ岳を背に滑って登り返している人がいた。レンズ越しにその辛さが伝わる。
登る人たちが後を絶たない。
滑る人間にとっては春の風物詩となっている。
順調に歩を進めていると、僕たちの人生の2倍以上は長生きしているであろう老人が、スキーで歩を進めていた。可能な速さでゆっくりと足を前に出し、急ごうとはせず、焦らずに歩いていた...
気のせいかもしれないが、「急げば良いというものではない」と言われている気がした。
11:16am
約3時間の歩行の末、生涯3度目となる至仏山の山頂に到着できた。
山頂は登山者、スキーヤー等で賑わっている。
あたり一面真っ白な山々を見渡していると、一際白い山があった。
滑れるかな?アイスバーンでカチカチかな?
昼食を済ませ、滑走準備に入る。
左に見えるのは会津駒ヶ岳、右が先ほど見えていた燧ヶ岳、そして眼下に広がる尾瀬ヶ原はまだまだ冬景色。
ミヤの股関節の調子があまりよろしくないこともあり、この1本で今シーズンを締めくくることにした。
滑るのは尾瀬が誇る大斜面「ワル沢」。
幼少期から鍛え上げたアルペンスタイルがミヤの持ち味。春のシャバ雪を切り裂くように、フォールラインに向かって落ちていく。
前回滑った時は、「縦溝(たてみぞ)」と言われる跡が、斜面の至るところに発生しており、思う存分滑ることは叶わなかった。そして、昨シーズンは雪が全然なかったと聞く。
今シーズンは10年に一度と言われるほど、素晴らしいコンディションが待っていた。
春に溶け込む。
斜面上部はとても気持ちの良いコーンスノー。
樹林帯に向かって最後の一本を滑る。
3時間もかかって登ったにもかかわらず、ピークから滑り降りれば、ほんの数分でボトムまで到達するかもしれない。
だからこそ、その1本を価値あるものだったと感じれるように、大切に滑ることができるんだと思う。
こうして、今シーズン最後となる「雪の遊び」に別れを告げた。
至仏山を旅して
2年ぶりに訪れた至仏山を無事に滑り終えることができました。
同じところに来てばかりだと進歩しないし、飽きてしまうのではないか?と思いましたが、そんなことはなく、同じ場所だからこそ以前よりも注意深くなり、前回気づかなかったことに気づくなど、より多くを得るきっかけにもなり、成長を感じることができました。
「春」まで滑ることで見えるもの
「春」まで滑らなければわからないこと
「春」は一年で最も生命が活発になる季節
長いようで短い雪の遊びも春まで遊ぶことで、より一層充実したものになることを僕たちは知っています。
これまで雪のシーズンが短いと感じていた人たちにも、春の爽快感を感じて欲しいと個人的には思います。春はぽかぽかと日も暖かく、緩やかな陽気が冬の厳しさを和らげてくれます。
そして、至仏山は尾瀬らしい春を味わうことができる山として、今も昔もこれからも愛され続けるでしょう。
至仏山の位置
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